【心療内科医がわかりやすく解説】マインドフルネスのやり方と危険性

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過去の出来事について、あれこれ考えたり、将来のことについて、心配になったりすることは、ありませんか?
だれでも、過去や未来のことについて思い悩むことがよくあります。
そんな時には、思い悩んでいることをあるがままに受け止めて、自分自身の思いや感情にとらわれないようにする練習をしてみましょう!
その練習を継続することで、ストレスを減らすことができるようになってきます(マインドフルネスストレス低減法, ジョン・カバットジン, 北大路書房, 2007)。
この記事では、その練習法であるマインドフルネスについて解説します。

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マインドフルネスとは?【マインドフルネスの意味】

日本マインドフルネス学会では、マインドフルネスとは、

今、この瞬間の体験に意図的に意識を向け、 評価をせずに、とらわれのない状態で、ただ観ること

https://mindfulness.jp.net/より

と定義されています。
前半部分はわかりやすいと思いますが、後半部分はわかりにくいと思います。
私なりに解釈すると以下の通りです。

  • 評価をする」とは、「あるがままに受け止めずに、自分自身の価値観で判断する」ことです。
  • 評価をすると、さまざまな思いやそれに伴う不快な感情が頭の中でぐるぐると繰り返し出てくる状態(とらわれた状態)になるため、評価をしないことで、これらの思いや感情が繰り返し出てこない状態(とらわれない状態)になれます。
  • ただ観る」とは、「こんな思いが浮かんできたな」とか「不快な感情が出てきたな」と、その思いや感情には反応しないで(とらわれないで)、成り行きを見守る」ことです。

普段、私たちは、体の状態や周囲で起こる出来事に対して無意識のうちに自分なりに解釈したり、評価したりするために、それに伴って不安やイライラなどの感情が出てきます。
その無意識のうちに出てくる思いや感情のために現実をあるがままに受け取ることが困難になり、 誤解してしまっていたり、苦しみが続く原因になったりします。

ちなみにCambridge Dictionaryで「Mindfulness」を調べると以下のような英文が書かれていました。

The practice of being aware of your body, mind, and feelings in the present moment, thought to create a feeling of calm(今、この瞬間の自分の体、心、感情に意識を向けることで、穏やかな気持ちになれると考えられている練習法)

Cambridge Dictionaryより

マインドフルネスの危険性

マインドフルネスを行うことで、ストレスを減らすというメリットがありますが、なかにはマインドフルネスを行うことで調子を悪くする場合があります。
例えば、心的外傷後ストレス障害の患者さんでは、マインドフルネスを行うことで嫌な思いや感情が出てくる場合があります。
マインドフルネスの治療に精通した治療者と一緒に行う場合には、問題ありませんが、一人で行う場合には危険を伴います。
そのため、医療機関に通院中の方は、主治医と相談の上、マインドフルネスを行うようにしてください。
もし、マインドフルネスを行うことで、嫌な思いや感情が出てくる場合には、ずぐに中止して、必ず医療機関に相談してください。
そのほかに、マインドフルネスの治療に精通した治療者と一緒でない場合には、目を閉じた状態でマインドフルネスを行わないようにしてください。

マインドフルネスのやり方【マインドフルネスの方法】

マインドフルネスの代表的な方法にマインドフルネス呼吸法があります。
そのほかにもマインドフルウォーキングやマインドフルイーティングなど日常生活を送りながら、マインドフルネスを実践することができます。
それぞれのマインドフルネスのやり方について簡単に説明します。

マインドフルネス呼吸法

まず、はじめに呼吸に意識を向けます。
すわった状態でも寝た状態でもかまいませんので、息をはいていることや吸っていることに意識を向けましょう。
すわる場合には、背筋を伸ばした状態でイスにすわるか、正座またはあぐらをかいてすわります。
目は完全に閉じないようにして、呼吸や体の状態に意識を向けて、あるがままの状態を感じ、何の判断もしないで、ただすわっているようにします。

胸やおなかが呼吸に応じてふくらんだり、しぼんだりする感覚を感じましょう。
しばらくすると、呼吸から意識がそれて、別のことを考えてしまうと思います。
何か別のことを考えていたら、再び呼吸に意識を戻します。

過去のことを思い出したり、未来のことを考えたりすると、そのことにとらわれてしまいます。
別のことを考えていたり、それに伴う感情が出てきて、そのことにとらわれてしまうようであれば、川の上流から葉っぱが流れているところをイメージして、その考えや感情をその葉っぱの上にそっと置いて下流に流してみましょう!

別のことを考えていたら、今現在、この場所で、自分の心で感じていることや体の感覚に気づくことができません。
自分の感情や感覚に気づかなければ、自分の心や体からのサインを受け取ることができなくなってしまいます。
例えば、無意識に不安や緊張がある人は、まず筋肉に緊張があることに気づくことが必要です。
呼吸に意識を向ける練習を続けていくうちに、体の緊張に気づくことができるようになり、うまくリラックスできるようになってきます。

マインドフルウォーキングやマインドフルイーティングなど

普段の生活の中でも体の感覚や心の状態や感情に意識を向ける練習をしてみましょう。
歩いている時に地面に触れている足の裏の感覚や呼吸に意識を向けましょう(マインドフルウォーキング)。
食べる時には、ゆっくり食べながら、見た感じや香りや舌で感じる味や触感や温感に意識を向けましょう(マインドフルイーティング)。

五感(視覚、聴覚、触覚、味覚、嗅覚)の感覚だけではなく、うれしい時にはうれしい、楽しい時には楽しいという感情に意識を向けてみましょう。
普段の生活においてストレスや不快な出来事があった時には、その時の体の感覚や頭に浮かんだ考えや感情に意識を向けてみるようにしましょう。
その時には、それらの出来事や思いや感情がいいとか悪いとかの判断をしないで、あるがままを受け入れるようにしましょう。
不安や痛みといった心や体の症状をとり除こうとしたり、抑え込んだり、とらわれたりしないようにして下さい。

マインドフルネスの練習時間

毎日10分程度、マインドフルネス(呼吸に意識を向ける練習など)をしてみましょう!
10分もできない人は、3~5分から始めて徐々に増やしてみてください。
3分もできない人は、30秒や1分などできる時間でやってみましょう!

まとめ

マインドフルネスの意味、危険性、やり方をわかりやすく解説しました。
普段の生活の中でも体の感覚や心の状態や感情に意識を向ける練習をしてみましょう。
マインドフルネス呼吸法、マインドフルウォーキング、マインドフルイーティングなど自分に合ったマインドフルネスから始めてみてください。
マインドフルネスを継続することで、ストレスを減らすことができるようになってくると思います。
マインドフルネスの記事が、みなさんのお役に立てれば、うれしいです。

参考文献

マインドフルネスストレス低減法, ジョン・カバットジン, 北大路書房, 2007

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