人生に影響している交流分析のドライバーとは?【心療内科医が解説】

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睡眠時間を減らしてまで頑張り続けて体調を悪くしていませんか?
そんな人は、無意識のうちに「頑張らなければならない」と思っているのかもしれません。
体調が悪くて休んでいると、周囲の人に迷惑をかけて申し訳ない気持ちになることがあると思いますが、「何もしていないでいる自分を許せない」と思って、頑張り続けて体調不良が続いていたら、要注意です!
今回は、私たちの考えや行動に影響している「頑張らなければならない」などのメッセージについて、交流分析の脚本分析を用いて解説します。

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交流分析の脚本分析とは?

私たちの人生は、生まれ育った環境である「過去の周囲の人たち」からのメッセージに影響されています。
このような自分の人生に影響しているメッセージについて分析することを交流分析では、「脚本分析」と呼びます。
脚本分析を行うことで、人生に影響を与えているメッセージに気づき、そのメッセージに対して自分にあった対処法を行っていく(自分の人生の脚本を書き換えて、今後はその役を演じる)ことができるようになります。

ドライバー

人生に影響を与えているメッセージには、ドライバー(「~しなければいけない」といった何かに駆り立てられるようなもの)や禁止令(「~してはいけない」といった禁止する命令)があります。
ドライバーには、「一生懸命努力せよ」、「完全であれ」、「喜ばせよ」、「強くあれ」、「急げ」の5つがあります。
以下に、交流分析の脚本分析で重要な役割を果たすこれらの5つのドライバーについて解説します。

一生懸命努力せよ

ひまな時間ができた時に「何もしないでいると落ち着かない」と感じたことはありませんか?
それは、無意識のうちに「頑張りなさい(一生懸命努力せよ)」というドライバーがあるからです。

要因
例えば、“子どもの頃に頑張って勉強してテストの点数がよかったら、両親からほめられたこと”が要因になったりします。

メリット
学生時代には頑張って勉強して成績が良かったり、仕事でも頑張りが周囲から認められて評価が良かったりします。

デメリット
何もしないでいると「頑張っていないと認められない」と無意識に感じてしまい、落ち着かない感じになったり、休んでいることに対して罪悪感を持つ場合があります。

完全であれ

「完全であれ」のドライバーがある人は、何事においても完全にやっておかないと気が済まなくなり、完璧主義になりがちです。

要因
例えば、幼少期から周囲の大人に「ちゃんとやりなさい」と言われ続け、完璧にやることで褒められた経験があることが要因になったりします。

メリット
もちろんテストで満点が取れたり、仕事でも周りから高い評価を受けることが多くなるというプラスの面があります。

デメリット
なにをしても「完璧にやれていないのではないか」と不安になったり、完璧にできていないと感じると「自分はダメな人間だ」と思ったりします。
また、他人に対しても「完全であれ」を要求して、人間関係がうまくいかなくなることがあります。

喜ばせよ

「喜ばせよ」のドライバーがある人は、他人を喜ばせることや楽しませることに重点を置き、自分を犠牲にしてまで他人を喜ばせるようになります。

要因
例えば、幼少期から自分の気持ちよりも、周囲の人に気をつかったり、親切にしたりすることで、喜んでもらったり、楽しんでもらったりした経験があることが要因になります

メリット
クラスで人気者になったり、仕事でもムードメーカーになったりというプラスの面があります。

デメリット
自分がきつくてつらい状況でも、他人の世話をしたり、他人に尽くしたりすることが止められなくなってしまいます。
なかには痛みで日常生活に支障が出てきていても、人のために動いて痛みが改善しない状況が続いたりする人がいます。

強くあれ

「強くあれ」のドライバーがある人は、「そんなことで泣かないの」と言われて育ったりすることで、自分を気持ちや思いを抑えて、我慢することが美徳であると考えます。

要因
例えば、転んでケガをしても「そんなことで泣かないの」、「痛いのぐらい我慢しなさい」と言われ、我慢した経験が積み重なっていることが要因になります。

メリット
我慢強い性格でリーダーシップを取ることができたりするというプラスの面があります。

デメリット
自分が悲しい状況でも感情を抑えて、一人で悩み事を抱えてしまいがちになります。

急げ

「急げ」のドライバーがある人は、「さっさとしなさい」と言われ続けられたりすることで、落ち着きがなく、てきぱきと動いていないと気が済まなくなったりします。

要因
例えば、じっくり考えながら行動しているのに「はやくしなさい」と言われたり、興味があるものに時間を忘れて夢中で取り組みたいのに「急ぎなさい」と言われ、はやくすませてしまうことで評価される経験があることが要因になります。

メリット
何事もスピーディにやりとげることができたりするというプラスの面があります。

デメリット
自分でしっかりと考えることが少なくなり、ゆっくりすることができなくなってきます。
いつも時間が気になり、焦ってしまうことが多くなったりします。

ドライバーがマイナスに働いている時の対処法

5つのドライバーのうち、どれかには当てはまるものはありましたか?
もちろん1つだけでなく、2つや3つ、あるいは4つ以上も当てはまる人もいます。

ドライバーによって、学校でいい成績がとれたり、仕事で成功をおさめたり、家庭で評価されたり、褒められたりして、プラスに働くことが多くあります。
でも、周りの人たちの期待に応えようと、一生懸命頑張って、完璧を目指して、人のために尽くして、時間に追われながら行動して、疲れたりしているようであれば、ドライバーがマイナスに働いていることになります。

これらのドライバーがマイナスに働いている場合には、そのドライバーを和らげるように自分にあった対処法を行う必要があります。
具体的には、以下のようにマイナスに働いているドライバーに対して許可を与えてみましょう!

  • 一生懸命努力しなくてもいい
  • 完全でなくてもいい
  • 喜ばせなくてもいい
  • 強くなくてもいい
  • 急がなくてもいい

まとめ

自分の人生に影響しているメッセージについて分析することを「脚本分析」と呼びます。
人生の脚本には、以下の5つのドライバー(何かに駆り立てられるようなもの)があります。

  • 一生懸命努力せよ
  • 完全であれ
  • 喜ばせよ
  • 強くあれ
  • 急げ

これらのドライバーがプラスに働いている場合はいいのですが、マイナスに働いている場合には、そのドライバーに対して許可を与えてみましょう!

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