疲れや痛みが長く続いていませんか?
少し動いただけでも翌日以降に疲れや痛みが増してしまっているようであれば、その疲れや痛みは、体と脳からの重要なサインかもしれません。
無理をしている時に、風邪やインフルエンザなどに感染すると、長く続く疲れや痛みが生じる可能性があります。
今回は、疲れや痛みが長く続く要因について解説します。
日常生活の中で悩みは、ありませんか?
「ストレスはありません」といわれる人でも、多くのストレスを抱えている場合が少なくありません。
ストレスと聞くと、親しい人を亡くした、震災にあった、失業したなど大きなストレスを考えるのかもしれません。
しかし、以下のような悩みを持っている場合にもストレス状態にあると言えます。
- 仕事・学校や家庭などの人間関係で悩んでいる(仕事で評価されていない、友達とけんかした、家庭に居場所がないなど)。
- 過去の出来事を思い出して、ネガティブな感情(後悔、イライラなど)が繰り返し出てくる。
- 自分のことが許せなかったり、他人のことが許せなかったりしている。
- 将来のことを考えて、ネガティブな感情(不安など)が繰り返し出てくる。
- みんなに迷惑をかけていると罪悪感を持ち続けている。
かくれストレスは、ありませんか?
それほど悩みがなかったとしても、ストレスの範囲は広いため、実は多くの人が次のような「かくれストレス」と呼ばれるような小さなストレスを抱えているのではないでしょうか?
- 睡眠時間が不足している(睡眠時間が7時間未満、または平日と休日の睡眠時間の差が1時間以上ある)
- 仕事・勉強や運動を頑張っている(無理をしていないと思っていても、長時間の活動は、体や脳には負担がかかっています)
- 楽しいことをしている時間が長い(ゲーム、YouTube、ドラマの視聴、音楽鑑賞、読書、楽器の演奏などの楽しいことも脳や体のエネルギーを消費します)
ストレスフルな状態での感染に注意!
ストレスフルな生活を送っている時にウィルスに感染すると、長期間続く痛みやうつ状態を引き起こす可能性が示されています。
例えば、今まで頑張って勉強や仕事をしていた人が、風邪などの感染をきっかけにして、強い疲れや倦怠感が長く続くようになる場合が少なくありません。
ストレス後の感染の動物実験
5日間のストレス(一日1時間、体の大きな相手とけんかをするストレス)を受けたネズミの実験結果は以下の通りです(Physiol Behav. 2015;147:264-73)。
- 5日間のストレスのみを受けたネズミは、疲れや痛みは出ることはありません。
- ウィルス感染(実際には人口の2本鎖RNAの投与)させたネズミは、24時間以内に痛みのピークがあり、24時間後以降には痛みは消失します。
- 5日間のストレス後にウィルス感染させたネズミは、強制的に泳がせようとしても動かない時間(無動時間)が長くなり、痛みが1ヶ月以上続きます。
ストレスと感染による疲れや痛みの要因:免疫やホルモンの影響
上記の5日間のストレス後にウィルス感染させたネズミに対して、事前に次の2つの物質を投与した結果です(Physiol Behav. 2015;147:264-73)。
- ストレスホルモンが働かないようにする物質をストレスを受ける前から投与していると無動時間は長くならず、痛みも24時間以内に消失します。
- 脳内の免疫細胞であるミクログリアの活動をおさえる薬をストレスを受ける前から投与していると無動時間は長くならず、痛みも24時間以内に消失します。
ストレスは、免疫やホルモンにも影響をおよぼして、疲れや痛みが引き起こされることが示されています。
ストレスに対処することは、免疫やホルモンの異常を引き起こさないためにも、とても重要なことになります。
感染以外の要因に目を向けましょう
ウィルス感染後に疲労や痛みが続く場合には、ウィルス感染はきっかけにはなっていますが、感染という過去の事実は変えられません。
ウィルス感染に固執しないで、それ以外の要因に対処していくことが大切です。
- 体調を改善させるためには、まずは生活習慣を見直しましょう!
- 日常生活の悩みを減らしましょう!
- 睡眠時間をしっかりとりましょう!(睡眠時間を7時間以上とって、平日と休日の睡眠時間の差が1時間以内になるようにしましょう)
- 仕事や勉強は無理のない範囲にしましょう!(翌日以降に疲れや痛みが増えないようにしましょう)
- 楽しいことをしている時間も制限しましょう!(ゲーム、YouTube、ドラマの視聴、音楽鑑賞、読書などの時間も制限してみましょう)
まとめ
日常生活の中での悩みがあれば、その悩みを減らしましょう!
睡眠不足や頑張りすぎや長時間の活動などの「かくれストレス」に対処しましょう!
ストレスフルな状態での感染は、長期間続く疲れや痛みを引き起こします。免疫やホルモンの影響がありますが、その要因としてのストレスに対処することが大切です。
長く続く疲れや痛みを改善させるには、しっかりと休養する必要があります。
あまり無理をしない生活を心がけましょう!
こころや体の状態を理解して、こころや体からのサインを感じ取って、ストレスに対処できる手助けになれば幸いです。